第351章:桑原様の宣戦布告(3)

「これは……?」裁判官もこのような控訴の取り下げに遭遇したことがなく、一時的にどう対処すべきか分からなかった。

「この案件は先ほどの案件と密接に関連しているため、双方当事者が出席している状況で、一括して審理していただきたいと思います」と吉田デニスは要求した。

最後に裁判官と陪審員が数分間協議し、最終的に審理の継続に同意した。

長田輝明はこの時すでに呆然としていた……

小田勝田も普段の傲慢な態度を失い、完全に呆けた様子だった。

吉田デニスが一つ一つの証拠を示し、次々と質問を投げかける中、長田輝明は支離滅裂で、言葉も上手く出てこなかった。

完全な嘘の連続で、しかも矛盾だらけ、全く説得力がなかった……

青木岑は自分が無罪になっただけでよかったと思っていたが、吉田デニスが逆に告訴するとは予想していなかった。

そのため本当に驚いていた……

しかし彼女は、これは西尾聡雄の指示だろうと考えた。西尾聡雄は常に悪を憎む性格だから、長田輝明が今回積極的に陥れようとしたことを、簡単には許さないはずだと。

最初は皆不思議に思っていた。なぜこんな簡単な案件に吉田デニスを雇う必要があるのか?

完全な映像証拠があるのだから、どの弁護士でも同じではないか?

今になってようやく分かった。なるほど、長田輝明を刑務所に送り込むつもりだったのか。吉田デニスは人の心理的防衛線を崩すのが上手すぎる。

長田輝明はもともと理不尽で、普段から頭が良くなかったため、吉田デニスに誘導されて、すべてを話してしまった。

小田勝田は最後には顔色が暗くなっていた……

事態がここまで発展するとは、彼は予想していなかった。師匠が一手打つや否や、その実力の程が分かった。確かに容赦がない。

最後に裁判官が長田輝明に誣告罪、不法監禁罪、強姦未遂罪などの一連の罪で懲役7年5ヶ月の判決を下した時、長田家の人々は完全に呆然とした。

「息子、私の息子……?」長田母さんは目を見開いたまま気を失った。

「お母さん、お母さん目を覚まして」長田光里は母親を抱きしめて必死に揺さぶった。

最後に、長田輝明は直ちに拘留され連行され、長田母さんは救急車で運ばれた……

現場は完全に混乱状態だった……

青木岑は被告席からゆっくりと降り、吉田デニスに向かって深々と一礼した。

「ありがとうございます、吉田伯父」