案の定、大画面には青木岑が入室してから退室するまでの映像が映し出されていた。
全過程は15分もなかったが、場面は衝撃的だった……
「これは……証拠がないと言われていたのでは?」長田輝明も呆然としていた。
吉田デニスは微笑んで、「これが完全な映像です。もし私たちが手を加えたと疑うのであれば、司法鑑定を行うことができます。映像全体から見て、私のクライアントは強要されており、純粋に自己防衛でした。あの状況で、多くの男性に囲まれた一人の女性が、このような手段を取らなければ、身の危険にさらされていたかもしれません。従って、これは正当防衛だと考えます」
「15分間休廷、15分後に再開します」裁判官が宣言すると、場の緊張が一気に緩んだ。
熊谷玲子はすぐに青木岑のところへ行き、水を渡した。
「早く水を飲んで、落ち着いて」
「何を落ち着くことがあるの?私は冷静よ」青木岑は軽く笑った。
「これで勝ちは確実ね。ねぇ、あなたの旦那さんが頼んだ弁護士が誰か知ってる?」
「あのおじさま?知らないわ、誰なの?」青木岑は水を飲みながら、遠くで資料を整理している年配の男性を盗み見た。
「おじさま?ぷっ……普通のおじさまだと思ってたの?」熊谷玲子も呆れた。
佐藤然は黙って笑っていた……
「何よ、二人とも。その目は何?一体誰なの?そんなに神秘的な感じで」
青木岑は、西尾聡雄がただのベテラン弁護士を雇ったと思っていた。他に何か来歴があるとは想像もしていなかった。
熊谷玲子が佐藤然に促して、先ほどの吉田デニスの紹介を繰り返した後。
青木岑はその場で固まった……
「つまり……このとても親切そうなおじさまが、本当に華僑系の伝説的弁護士、吉田デニスなの?」青木岑は目を丸くした。
「うんうん」佐藤然と熊谷玲子は揃ってうなずいた。
「まさか……」青木岑はあまりの驚きに、今の気持ちをどう表現していいか分からなかった。
「じゃあ……彼に裁判を依頼するのって、すごく高額だったでしょう?」青木岑は少し心配そうに尋ねた。
佐藤然は呆れたように彼女を見た。「その器の小さい態度を見てよ。あなたの旦那さんはお金持ちなんだから、何を心配してるの?それに、デニスのような大物弁護士は、お金があれば誰でも頼めるってわけじゃないよ。あなたの旦那さんがそれだけすごいってことさ」