第363章:彼女は既婚者だった(5)

「荒木社長は来ませんでした。とても忙しくて、まだたくさんの重役会議があるそうです。私が代わりに様子を見に来るように言われました」そう言って、リサは花を近くの花瓶に入れた。

正直なところ、岩本奈義が業界に入った頃、リサは彼女のことが好きだった。容姿も良く、努力家で、あらゆる面で育成する価値があると思っていた。しかし後に、寵愛を恃んで傲慢になり、新人をいじめ、さらに彼女のマネージャーと共謀して桑原勝との関係を利用して話題作りをするようになった。この点をリサは特に気に入らなかった。

しかし、その頃彼女は寵愛を受けていたため、桑原勝も彼女の話題作りを黙認していた……。

今や荒木社長の興味が失せ、綿菓子が台頭してきたことで、彼女は様々な手段で綿菓子を陥れようとしている。