第362章:彼女は既婚者だった(4)

「まさか?あの人とまた付き合うなんて、そんなことしたら絶交よ」

「分かってるならいいわ」

「あの人が和解を求めてきたのは、周家が没落したからだってわかってるわ。それに私たちの人脈が強いことも。吉田デニスの件が上流社会で広まって、あの最低な元カレまでデニスを知ってるかって聞きに来たのよ。世の中どうなってるのかしら」

「当然でしょう。ほとんどの人にとって、成功の基準は二つしかないのよ」

「どんな基準?」熊谷玲子は首を傾げた。

「子供の頃は成績、大人になってからはお金よ」

「その通りね。現実的だけど、まさに真理だわ」熊谷玲子は強く同意した。

「だから、そんなに真剣に考えなくていいの。でも、一つアドバイスがあるわ」

「何?」

「これからは彼氏を選ぶとき、まず経済力を見るのはやめて、人柄を見てみない?」