第360章:彼女は既婚者だった(2)

関口遥は最初、桑原勝が新しいものに興味を持っただけだと思っていた……

しかし、彼がこれほど真剣だとは思わなかった。長年の付き合いで、周りに多くの女がいたが、誰に対してもこれほど真剣になったことはなかった。

唯一の例外は、人妻だった。関口遥も頭を抱えていた……

「それはまずいんじゃないか?」関口遥は、これは価値観が歪んでいるのではないかと思った。

「何がまずいんだ?結婚したからって離婚できないわけじゃない。誰と誰がどうなるかなんて分からないだろう。芸能界を見てみろよ。あの大物俳優だって、奥さんと十数年結婚して、子供も十五歳になったのに、去年離婚して90年代生まれの若い嫁さんをもらったじゃないか。社会も時代も変わっていく。不可能だと思えたことも、次第に可能になっていく。桑原様、僕は支持しますよ。西尾聡雄なんて大したことない。気に入らないなら戦えばいい。ダメなら、俺たちが手伝う。GKなんて、どれだけ持ちこたえられるか見てみようじゃないか?」

矢野川は性急な性格で、すぐに熱くなるタイプだったので、考えも及ばず盲目的に支持した……

関口遥は、こんな短気な二人の兄弟を持つと心配で仕方がなかった……

御苑

青木岑と西尾聡雄は一晩中遊び、帰る頃にはバスもなくなっていた。

結局二人はタクシーで帰らざるを得なかった……

寝室にて

青木岑がシャワーを浴びてバスタオル姿で出てきた時。

西尾聡雄は本を置いて、傲慢に尋ねた。「全部脱ぐって約束したじゃないか?」

「あの……天気予報を見たら、夜は少し寒くなるみたいで、風邪をひかないように、やっぱりバスタオルのままがいいかな。」

「大丈夫、僕が暖めてあげるから。」

「やっぱりやめておこうかな。」

「つまり……約束を破るってことか?」西尾聡雄は青木岑を不満そうに見つめた。

青木岑は言葉を失った……

なぜ夫はこんなに記憶力がよくて、しかも容赦ないのだろう。

「もう、そんな目で見ないで。何か悪いことでもしたみたいじゃない。全部脱げばいいんでしょ。誰が怖いものか。でも、後で我慢できなくなっても知らないわよ。」

青木岑は勢いづいて、さっとバスタオルを脱ぎ、西尾聡雄が見る間もなく布団に潜り込んだ。

その素早さといったら……

「反応が早いね。よく見えなかったよ。」西尾聡雄は笑いながら言った。