第373章：私はあなたの理性が嫌い（5）

「いいよ」青木岑は頷いた。

「ほら、青木さんが承諾してくれるって言ったでしょう」

「もう行ってもいいですか？副院長」

「何を急いでいるの、岑ちゃん。私もまだ食事してないのよ。あなたたちの食堂の料理が美味しいって聞いたけど、連れて行ってくれない？」

「私が...？」青木岑が断ろうとした時。

坂本副院長が言った。「当然でしょう。あなたがこれだけの慈善活動をしたんだから、青木さんはこの程度の頼みは断らないはずよ」

青木岑の言葉は喉に詰まってしまった...

青木岑は仕方なく青木重徳を食堂へ案内した。食事の時間は既に過ぎていたが、副院長が直接シェフに指示して青木重徳のために特別に数品料理を作らせた。

広々とした食堂で、青木岑と青木重徳は向かい合って座っていた...

「気になるんだけど、あなたの目的は何？」

「善行を施すことさ」青木重徳は軽く笑った。

「信じないわ。狡猾な実業家が自分の利益にならないことを無償でするはずがない。私をごまかさないで」

「ツツ...そんなに賢いところが本当に魅力的だね。君がいつも理性的なところが大好きだよ」

「無駄な話はやめて、早く言って」

「岑ちゃん、お腹が空いているんだ。食べながら話してもいい？」青木重徳は哀願するような目で言った。

その時、ウェイターが次々と料理を運んできた。全部で六品あり、野菜炒め、酢豚、鯉の煮付け、ゴーヤと卵炒め、海老の塩茹で、それに獅子頭、最後に白菜スープだった。

青木重徳は青木岑の言葉を待たずに、大きな海老を一つ彼女の茶碗に載せた。

「覚えてるよ...君は海鮮料理が何でも好きだよね？」青木重徳は箸を置いて笑顔で青木岑を見つめた。

「どうしてそれを知ってるの？」青木岑は、青木重徳と一緒に食事をしたことがないはずなのに、なぜ彼女の好みを知っているのか不思議に思った。

「ふふ、推測さ」

「信じない」

青木重徳の言葉を、青木岑は決して信じなかった。彼はいつもそうだから。

にこやかに笑っているけど、表面上の笑顔の裏で何を企んでいるか分からない。

「普段もこういう料理を食べているの？」

「普段は一品のおかずと一品の野菜と汁物だけよ。今日みたいに豪華じゃないわ」

「それは大変だね」

「何が大変なの？みんな同じものを食べてるでしょう？」青木岑は気にしていなかった。