第374章：私はあなたの理性が嫌い（6）

青木岑は聞き終わって、「バカなことを聞くんじゃないの？あなたが西尾聡雄と比べられるわけないでしょう？」と言いたかった。

でも青木岑は良い子だから、特に南区のような厳かな療養院では、そんな乱暴な言葉は使わない。

最後に彼女は顔を上げて青木重徳を見つめ返して尋ねた。「よくそんな質問ができましたね？」

「みんなが思うことが必ずしも正しいとは限らない。試してみる価値はある。他の答えがあるかもしれない」

「ないわ。他の答えなんてありえない。あなたと西尾聡雄を比べることなんてできない。この世界で、誰も私の心の中で西尾聡雄には及ばない」青木岑は遠回しな言い方を一切せず、きっぱりと言い切った。

「ふーん...私の愚かな妹は本当に一途なんだね」

「一途とは関係ない。事実を述べただけよ」

「そう。西尾のやつが君を失望させないことを願うよ。いつか裏切られて、心が引き裂かれるようなことがないように...それを見るのは辛いからね」

「ご心配なく。そんな日は永遠に来ないわ」

青木重徳との不愉快な食事を終えると、青木岑は仕事場に戻った。

青木重徳も助手を連れて南区を後にした。彼女は不思議に思った。この男は一体何が目的なのか、なぜ三日に一度は南区に来るのか？寄付をしたり、遺伝子の研究をしたり、お金を持て余しているのだろうか？

これは青木重徳らしくない行動だった...

夜勤を一回こなした後、青木岑は一日休みを取った。しかし家でゆっくりすることはなかった。西尾聡雄も家にいないので、一人では退屈だったから、第一病院に戻ることにした。

卒業してすぐに就職した場所だ。正直に言えば、離れてもまだ愛着があった。

第一病院産婦人科診察室の前で

「まあ、先輩...どうしてここに？」看護師さんの山田悦子は青木岑を抱きしめ、とても親しげだった。

山田悦子は青木岑が去った後、検査科にいたくなくなり、看護師長に申請して戻ってきた。

ちょうど産婦人科で人手が足りなかったので、上層部も承認した...

青木岑は去ってから、めったに戻ってこなかった。産婦人科には吉田秋雪がいて、二人は以前から折り合いが悪かったからだ。

だから面倒なことは避けていた...

「うん、今日は休みだから、みんなに会いに来たの」