第392章：一夜の激変（2）

「青木美人様、そんな怖い言い方はやめてくれませんか？彼女と結婚したら、私の命はないですよ？」佐藤然は青木岑をじっと見つめた。

「ちょっと、何言ってるの？命がないってどういうこと？私がどうかしたの？昨日の夜、あなたが自分からスイートルームに誘ってきたんでしょう？そうじゃなかったら、私が興味持つと思う？あなたこの嫌な警察官、人前と人後で態度が違いすぎるわ。偽善的じゃない？」熊谷玲子は明らかに怒っていた。

「申し訳ありません、お嬢様。そういう意味じゃなくて、青木岑に言ってたんです。私たち二人は彼らには及ばないって。仕事もあるし、警察署にも用事があるし、彼女の方も長く時間を取れないから、先に帰らせてもらいます。ハハ、休暇の時にまた来ますよ。ここは本当に素晴らしい場所ですから」佐藤然は感心した様子で言った。

「ええ、すぐに車に給油して持ってこさせます」西尾聡雄は頷いた。

「あなたたちは？いつ帰るの？」佐藤然は尋ねた。

「明日かな、明日の夜には家に着くと思う」

「そう、じゃあ帰ってきたら、また集まりましょう」

朝食を済ませた後、西尾聡雄は佐藤然の車を持ってこさせ、佐藤然と熊谷玲子を見送った。

正直なところ、青木岑はこの二人の愉快な人たちと別れるのが寂しかったが、仕方がなかった。

彼らには仕事があるのだから。二人が去った後、青木岑は西尾聡雄の手を引いて尋ねた。「今日はどこに行くの？」

「今日は深い山の奥に行くよ」

「深い山の奥？」青木岑は再び驚いた。

西尾聡雄がまた何か新しい計画を立てているのか全く分からなかったが、彼の計画はいつも彼女を驚かせてくれる。

彼が用意するものは全て彼女の好みだった……それは疑う余地もない。

西尾聡雄は車を運転して青木岑を連れ、雲頂山脈の山道をずっと進んでいった。およそ1時間以上走った。

道がますます通りにくくなってきたところで、西尾聡雄は車を止め、中くらいの入り口を指さして言った。「ここが山に登る道だ。車はここまでだから、歩いて行こう」

「えぇ……なんだか薄暗くて怖そう。猛獣とかいないよね？」青木岑は不安そうな様子を見せた。

「大丈夫、心配するな。俺がいるから」

「そうね、あなたがいれば他の猛獣は現れないわ。だってあなたが一番の猛獣なんだもの」青木岑は口を押さえて笑った。

西尾聡雄：……