第402章:初めての冷戦(2)

青木岑は微笑んで、「そんな話は聞いたことがありませんね。それに...私が便宜を図るかどうかは私の判断です。青木基金の会長として、一銭一厘にも責任を持たなければなりません。こうしましょう。直接青木重徳さんに聞いてみてはどうですか?彼が同意すれば、私も異議はありません」

「これは...わざと私を困らせているんじゃないですか?私は青木重徳さんとは面識もないのに」前田一清は心の中で思った。青木重徳とはどんな人物か、義理の兄でさえ丁重に接する大物なのに、自分なんかが話せる相手ではない。

「そうであれば、前田部長は経理部を困らせないでください。この件はここまでにしましょう」そう言って、青木岑は立ち去った。

前田一清は机を強く叩いて罵った。「くそ女め、何様のつもりだ?青木家の私生児のくせに。本当に生意気な奴だ。後でどうやって懲らしめてやるか見てろ」

前田一清は青木基金を利用しようとした計画が失敗し、青木岑に叱責されたことで、当然気分は良くなかった。

青木岑は自分の行動は正しいと感じていた。お金は青木重徳のものだが、その使途を決める責任も自分にあると。

本来は正当な目的のために使うべきものを、前田一清が裏庭の修繕などに使おうとするなんて、呆れた話だった。

「看護師長、今回のあなたの対応は正解でしたよ。あの前田一清はちゃんと懲らしめるべきでした。あの人の人柄がどれだけ悪いか分からないでしょう。公金を横領するだけでなく、私たち看護師さんにセクハラまでするんです。スタイルの良い子を見つけては近づいてきて、太った気持ち悪い人なんです」

数人の看護師さんたちは、青木岑が前田一清の鼻を折ったという話を聞いて、特に喜んでいた...

「私は事実に基づいて判断しただけです。この資金の行き先は把握しておく必要があり、確実に正しい目的に使われなければなりません。そうでなければ、この基金を設立する意味がありません。誰が横取りしようとしても許しません」

青木岑は頑固で、性格がちょっと捻くれていて、一度決めたことは必ず貫き通す。

九頭の牛でも引き戻すことはできない...

だから副院長の義理の弟を怒らせたことについても、特に不適切とは感じていなかった。大会議の時だって、副院長と対立したじゃないか?

副院長すら気にしていないのに、たかが義理の弟なんて気にする必要があるだろうか?