第435章:私のことを西尾奥さんと呼んで(5)

「何ですって?あなたが西尾奥さんなら、私は何なの?」

「あなたも西尾奥さんよ。でも、あなたは西尾...お...年...寄...り...奥さんね」

特に「お年寄り」という言葉を強調したため、西尾奥さんは顔が青ざめた...

「やはり躾のなっていない者ね。口を開けば下品な言葉ばかり」

青木岑は冷たい声で反論した。「躾のある人は『育ちが悪い』なんて言葉を口にしませんよ。誰が育ちが悪いのか、一目瞭然ですね...」

「その言い方は何なの?」

「字面通りの意味です」

「その口、引き裂いてやるわ...」西尾奥さんは相変わらず凶暴だった。

青木岑に向かって飛びかかってきたが、岑はそれを避け、後ろのボディーガードがまた動き出そうとした。

「私に指一本触れてみなさい。私は西尾聡雄の妻よ」青木岑は冷たく言い放った。

ボディーガードは当然西尾聡雄が誰かを知っていた。このような家庭内の揉め事には軽々しく手を出せない...

「彼女を恐れることはないわ。彼女を殴りなさい」西尾奥さんは厳命を下した。

大柄なボディーガードが青木岑に向かって歩み寄ってきた。

青木岑は後ずさりを続けた...

彼女は知っていた。このボディーガードこそが、前回母を突き飛ばした大男だと。

まさに西尾奥さんの飼い犬で、東に行けと言われれば西には行けない...

ボディーガードが目の前に迫ってきた時、青木岑は突然足を上げ、ボディーガードの急所を蹴った。

おそらく油断していたのと、岑の動きが速かったため...

一発で命中...

大男のボディーガードは下を押さえ、激痛に苦しんだ...

「この一発は母の仇討ちよ。今後また老人を虐めているところを見たら、あなたを廃人にしてやるわ」

そう言うと、青木岑は手を払い、そのまま立ち去った...

西尾奥さんの騒動を完全に無視して...

青木岑は今や西尾母さんを憎むだけでなく、精神状態の良くないお年寄りだと思うようになっていた。

確かに姑と嫁は天敵だろう。結局は同じ男性を愛しているのだから、嫉妬は避けられない。

でもここまで異常なのは...

車で家に帰ると、西尾聡雄は既に夕食を作っていた。

黒コショウ牛肉のイタリアンパスタで、これは青木岑の大好きな味だった。

他にもフルーツサラダ、フライドポテト、シャンパンもあった...