第441章:つけあがる(1)

「もう我慢できないわ。あとで二人が愛を見せつけてきたら、もっと耐えられないでしょう?来ない方がいいって言ったのに、わざわざ自分を痛めつけに来て、しかもお金を払って痛めつけられるなんて」関口遥がぶつぶつと文句を言った。

GKのチャリティーディナーには、多くの著名人が招待されており、参加は完全に自由意志だった。

このような晩餐会の意図は明確で、会社が物を競売にかけ、参加者がお金を出して慈善活動をするというものだった。

しかし、多くの人が参加したのは、慈善活動に熱心だからではなく、GKとの関係を深めたいからだった。

新任社長の西尾聡雄との良好な関係を築き、将来的な利益につなげたいと考えていた。

桑原勝は来なくても良かったはずだ。彼はエンターテインメントメディアを手がけており、GKはこれまでメディアに投資したことがなかったからだ。

彼が来られたのは、完全にGKのこの基金が、MIANファンドと名付けられていたからだった。

桑原勝は知っていた。それは青木岑の名前にちなんで名付けられた基金だったので、彼は必ず来なければならず、さらに関口遥も一緒に連れてきた。

「始めましょう」西尾聡雄が命じた。

その後、司会者が中央に歩み出て、幕を開けた……

「最初の競売品は、明治時代初期の白檀の扇子です。当社GKの取締役会長のコレクションの一つで、開始価格は六百万円からです」

「六百万円です」

「七百万円……」

「九百万円……」

数人の実業家が競り合い始め、最後に扇子は千二百万円の高値で落札された。

青木岑は下で見ていて、とても気分が良かった。なぜなら、この競売の収益はすべてMIANファンドに入ることを知っていたからだ。

そのお金はすべて、雲頂山の奥深い山間部の子どもたちの食費や学校建設費用に使われることになっていた。

その間にも多くの品が競売にかけられ、時間は約1時間ほど経過した。

「お腹すいた?」西尾聡雄が彼女の耳元で静かに尋ねた。

「大丈夫」

「もう少しの辛抱だ。終わったら食事に行こう」

「うん」青木岑は頷いた。

二人は手を繋ぎ合わせ、最前列に座って競売の続きを見守った。

最後に、司会者は厳かに告げた。「次は最後の競売品です。GKグループの新作ジュエリーで、当社の7人の著名デザイナーが共同開発した『栄華絢爛』です」