第453章:虎は牙を剥かない(3)

「以前は考えすぎて、あれこれ心配しすぎて、多くのものを失ってしまいました。西尾聡雄と別れた七年間、私はまるで生ける屍のように過ごし、毎日機械的に生きていました。彼が戻ってきてから、やっと本当の自分を取り戻せた気がします。幸治の言う通り、人生は短い、考えすぎないようにしないと。杞憂に終わるだけです。一歩ずつ進んでいけばいいんです。今、西尾聡雄と一緒にいることが、私にとって最大の幸せなんだと分かっています。」

青木岑はゆっくりとそう語った……

「そうね、その考え方でいいわ。人それぞれ生き方があるものよ。そんなに自分を追い詰めることないわ。西尾聡雄は西尾聡雄、彼の母親は母親。あなたが一緒に暮らすのは彼であって、両親じゃないわ。幸治のやつ、若いのに、なかなか理にかなったことを言うわね。ハハハ、私も何か挫折したときは、彼に相談してみようかしら。」