第452章：虎は牙を剥かない（2）

「場所を変えましょうか」熊谷玲子は青木岑の表情が良くないのを見て、提案した。

青木岑は頷いた。正直に言えば、西尾奥さんを見るのは本当に心が痛む、彼女のことが本当に嫌いだった。

おそらく矛盾と恨みが深すぎて、簡単には解決できないのだろう......

彼らが立ち去ろうとした時、西尾奥さんが振り返って突然青木岑を見つけ、すぐに近寄って彼女を遮った。「私を見て逃げるなんて、怖いの？あなたこそ育ちの悪い子ね。ここでもあなたを見かけるなんて、本当に縁起が悪いわ」

「冗談でしょう。時には逃げるのは怖いからじゃなく、単に嫌いだからです。道を歩いていて****を見かけたら、踏んでいくべきですか？もちろん避けますよ、気持ち悪いですから」青木岑は淡々と笑った。

「私のことを気持ち悪いと言ったの？」西尾奥さんは声を張り上げ、他の貴婦人たちも集まってきた。

「私は何も言っていませんよ。あなたが自分で当てはめただけです」

「西尾奥さん......この方は誰？」数人の貴婦人たちが興味深そうに近寄ってきた。

まるで動物を見るように青木岑を囲んで見ている......これは彼女にとって非常に不快だった。

「私の息子が七年前に遊んだだけの腐った女よ......」西尾奥さんは本当に青木岑の面子を全く立てなかった。

しかも、このような公の場でも言葉遣いに気を使わない。おそらく青木岑のことを極端に憎んでいるのだろう。

「西尾伯母さん、そんな言い方はちょっと酷すぎますよ」熊谷玲子は我慢できずに、青木岑を助けて言った。

「私に近づこうとしないで。誰があなたの伯母よ。あなたのことなんて知らないわ。みんな、ブランド品を着て、ブランドバッグを持っているからって上流階級だと思わないで。まるで東施効顰ね。貴族の気品もないのに見栄を張って。貧乏人の子供は......腹黒い女よ。一人残らず。私が一番嫌いなのは、あなたたちのような可哀想なふりをして同情を買おうとする貧乏人たちよ」

西尾奥さんは貧乏人という言葉を連発し、貧富の差に対する偏見の大きさが見て取れた。

彼女がそう言うと、その貴婦人たちもすぐにひそひそと話し始めた......