第454章:虎は牙を剥かない(4)

「うん、それで?誰が勝ったの?」西尾聡雄は無関心に尋ねた。

「えーと……その……私が勝ったの。お母さんをかなり怒らせちゃったみたい」

青木岑は、西尾聡雄が年配者と争うなと諭してくれると思っていた。

しかし予想に反して、彼は「よくやった、嫁さん」と言った。

「えっと……でも、あなたの実の母親でしょう?」青木岑は気まずそうに言った。

「君も僕の大切な嫁だよ」西尾聡雄は当然のように答えた。

「やっぱり男は嫁をもらうと母親を忘れるのね?」青木岑は半分冗談で聞いた。

「そんなことはないよ。事実は事実として、もし君が道理をわきまえず、母を理不尽に責めるなら、僕は君を叱るさ。でも……母がどんな人か、僕は十分わかってる。事を荒立てるのが好きで、言葉も毒舌だ。君は争いを好む性格じゃない。だから考えるまでもなく、この件は誰が悪いかわかる。母のあの性格じゃ、誰かに厳しく対処してもらう必要があった。そうしないと、僕も父さんも今後もっと大変になる……」