「何を見てるの?そんなに夢中になって?」
西尾聡雄は部屋に入るなり、青木岑が彼のデスクの前に立っているのを見た……
「これよ、まだ持ってたの?すごく醜いわ……」写真を指さしながら、青木岑は笑った。
「誰がそう言ったの?僕はこの時が一番綺麗だと思うよ」
「じゃあ、今の私は綺麗じゃないってこと?」
「もちろんそうじゃない。ただ過去の素敵な思い出を残しておきたいだけだよ。時々取り出して、失われた時を偲ぶために。この写真は僕にとってとても大切なんだ」西尾聡雄は直接は言わなかったが、アメリカでの7年間、この一枚の写真だけが青木岑を思い続けた春夏秋冬を乗り越えさせてくれたのだ。
しかし青木岑は彼の目つきからすべてを察していた……
彼女は甘えるように西尾聡雄の首に腕を回し、「あの写真はよくないわ。何年も前のものだもの。そのうち時間があったら、ウェディング写真を撮りに行きましょう」