「青木家に戻って、取締役会のメンバーになってほしいの。そうすれば、青木家の相続人の一人として、あなたの意見は重要視されるわ。あなたが何か要求すれば、お父さんもそれに従うはず。今は他に何も求めないわ、ただ隼人を呼び戻すのを手伝ってくれるだけでいいの」
「申し訳ありませんが、お手伝いはできません」
「ただで手伝ってもらうつもりはないわ。成功したら100万円を差し上げます」神谷香織は本気で賭けに出た。
青木岑が答える前に、神谷香織はバッグから四角い錦箱を取り出して差し出した。
「これは何ですか?」青木岑は不思議そうに尋ねた。
「オメガの腕時計よ。レディースの最新モデルで、18万8千円するわ。誠意の証として、まずこの時計を受け取って」神谷香織は錦箱を押し、青木岑の前に置いた。
青木岑は心の中で冷ややかに笑った。今回、青木家の母娘は大出血したようだ。お金も時計も出してきて。