「桑原さん、お会いできて光栄です」青木源人は入室するなり、社交辞令を並べ始めた。
桑原勝は椅子から立ち上がる気配もなく、だらしない姿勢で寝そべったまま、明らかに青木源人など眼中にないような態度を取っていた。
「ああ、青木社長、どうぞお座りください」
青木源人が席に着くと、桑原勝の秘書がお茶を二杯持って入ってきた。
青木源人は一口飲んで褒め称えた。「やや、素晴らしいお茶ですね。これは清明雨後の龍井茶でしょう。味わいが清らかで甘く爽やかで、なかなか手に入らないものですね」
「ああ、何のお茶かは知りませんよ。誰かが父にくれたものです。父が飲みきれないので、私がもらって、あなたたちのような年寄りをもてなすのに使っているんです」
桑原勝は遠慮なく話し、青木源人のことを年寄り呼ばわりした……