第460章:虎は牙を剥かず(10)

「ふん……あなたは岑の実の父親じゃないの?こんな大事なことを知らないなんて?」

「本当に知らないんだよ。甥よ、これは何か間違いじゃないのか?」

「間違い?NO、NO、私、桑原勝の情報は間違えたことがないよ。市役所で確認できるから、自分で見に行けばいい」

「じゃあ彼女は...いつ結婚したんだ?誰と?」青木源人は心臓の鼓動が乱れるのを感じた。

このことは青木重徳も彼に話していなかった。もしかして青木重徳も知らないのか?

「その人はたぶんあなたも知っているはずだよ。GKの新社長、西尾聡雄さ。結婚して4ヶ月くらいかな」

青木岑が自分と知り合った時にはすでに結婚していたと思うと、桑原勝の胸が詰まる思いだった...

自分の登場が遅すぎたような気がして...

「西尾聡雄?GK?」これには青木源人はさらに動揺した。

桑原勝と少し震えた後、彼は言い訳をして立ち去った...

そして直接青木グループへ向かった。

青木グループ本社で、青木重徳は書類に署名をしていた。

すると青木源人が怒りに任せて入ってきた。

「父さん...どうしてここに?」

「岑が結婚したそうだが、なぜ私に言わなかった?」

「え?結婚?父さん冗談を言うのは上手いですね。岑はまだ若い女の子に見えますよ。結婚なんてあり得ないでしょう」青木重徳は笑った。

「これは桑原勝が直接言ったことだ。私も市役所に人を派遣して確認した。確かに婚姻届を出している」

「え?そうなんですか?誰と結婚したんですか?」青木重徳は驚いたふりをした。

「お前は知らないのか?」

「父さん...私がどうして知っているでしょうか。ご存知の通り、岑は私のことを好きではありません。一言余計なことを言うこともないのに、こんな大事なことなんて...」

「あの生意気な娘め、随分と口が堅いようだな」青木重徳が知らないと聞いて、青木源人も納得した。

「誰と結婚したんですか?全く噂も聞いていませんでしたよ」

「それは後でゆっくり話そう」青木源人は青木重徳に西尾聡雄のことを直接は言わなかった。

なぜなら、青木重徳が岑にこれほど強力なバックがいることを知ったら、利用しようとするかもしれないと恐れたからだ。

彼はまだ岑を引き込んで、神谷香織の側に立たせたいと思っていた...