第450章:つけあがる(10)

「明日のランク戦、私の代わりにやってくれない?あなたの腕前を見てみたいの」

「いいよ、問題ないけど、終わったら私と一緒に日光浴びに行くことね」

「了解」少年は明るく笑った。

山田昭は完全なインドア派で、運動は好きではなく、日光浴はもっと嫌いだった。

青木岑も彼の心理状態を徐々に調整してほしいと願っていた。患者の回復を助けるためにゲームまで付き合うなんて、本当に困ったものだ。

病室を出ると、見波は笑って言った。「看護師長、人望がすごいですね。どんな患者さんでも対応できるなんて」

「人と人との付き合い方を理解することが大切なの。患者さんも友達のように接すれば、誠実に接すれば、相手も真心で返してくれるわ」

「また新しいことを学びました」見波は最初、幸恵と同じように青木岑を敵視していたが、今では尊敬するようになるまでに、長い過程を経ていた。

今や青木岑は南区で有名になっており、他の科の患者さえも彼女を訪ねてきて、患者のことを相談したり、リハビリ計画の作成を依頼したりする。患者から贈り物をもらうこともあるが、些細なもの以外は受け取らない。

仕事が終わると、青木岑は車で直接熊谷玲子に会いに行き、二人は台湾料理店で落ち着いた。

青木岑は紙袋を取り出して渡した。「あげる」

「わぁ、エルメスのバッグ、最新作よ。しかも2つも...本当に散財したわね...どうしたの?何か頼みごと?」熊谷玲子は笑いながら尋ねた。

「別に」

「じゃあ、なんで突然プレゼントをくれるの?」熊谷玲子も不思議に思った。

「これは青木重徳が私にくれたものよ。持って帰れないし、欲しくもない。捨てるのはもったいないから、あなたにあげるのが一番いいと思って」

「捨てるなんてもったいない。こんなに高価なものを。私にくれて正解よ」熊谷玲子は高級ブランド品が大好きで、このバッグを見てとても喜んでいた。

「最近、佐藤然とはどう?」青木岑は料理を食べながら、さりげなく尋ねた。

「げほげほ...どうって何よ。まるで私たち二人に何かあるみたいな言い方ね」

「あなたたち二人は何かじゃなくて、絶対に何かあるでしょ」

「変なこと言わないでよ。お嬢様の口を封じちゃうわよ」熊谷玲子は笑いながら青木岑とじゃれ合った。

青木岑は熊谷玲子と一緒にいるのが好きだった。リラックスできるからだ。