その後、佐藤然は事の経緯を熊谷玲子に詳しく話した。
彼女は心臓がドキドキして怖くなった……でも最後に青木岑が無事で良かった。
「うわぁ、次は結論だけ先に言ってよ!死ぬかと思った。」熊谷玲子はほっと息をつき、コップの水を一気に飲んだ。
「青木岑ってすごく賢いよね。一人で九人と戦って、しかも力の弱い女の子なのに。」
「だから天才なんでしょ。自分で毒薬まで作れるなんて、すごすぎ……」
「あれは毒薬じゃないよ。鑑定してもらったけど、超強力な麻酔薬に青木岑が着色料を混ぜたものだった。ハハ、彼女はもう化け物みたいだね。西尾聡雄が彼女を好きなのも分かるよ。」
「え?あなたも彼女に惚れちゃった?」熊谷玲子は冗談めかして聞いた。
「冗談でしょ。あんな女、僕みたいなバカには相応しくないよ。西尾聡雄と戦わせておけばいい。」