第495章:断ち切れない毒(5)

西尾聡雄は全てを見通していた……義弟のことを少し心配していた。

「私は前から言っていたでしょう。彼と山田悦子は合わないって。二人は私に隠し続けているつもりだけど、私は知っているのよ。それが心地よくないわ」

「若い人たちには若い人たちなりのやり方があるから、あまり干渉しない方がいいと思うよ」

「私は干渉していないわ。ただアドバイスをしただけ。聞く耳を持たないなら仕方ないわ」

「君が何を心配しているのかわかるよ。でも岑、分かってほしいんだ。注意しても無駄な人もいるんだ。自分で転んでこそ、本当に成長できるんだよ」西尾聡雄は諭すように言った。

「そうね。でも幸治は私の弟だから、これから彼がどんな傷つき方をするのか考えると、心配にならずにはいられないわ」

「可愛さあまって憎さ百倍……君ったら」西尾聡雄は彼女の頬をつまみながら、愛おしそうな目で見つめた。

西尾聡雄にそう言われて、青木岑も幸治のことに対して敏感になりすぎていたかもしれないと感じた。彼も大人なのだから、恋愛を選ぶ権利も、誰と付き合うかを決める権利もある。でも……どうしても心の中に不安が残る。まるで幸治と山田悦子は相性が悪いような気がしてならなかった。

古い家を出て、二人は直接車でC市郊外にある農家の小さな庭園へ向かった。これは佐藤然が見つけた場所だった。

警察署の仲間とよく集まる場所だそうで、釣りもできれば食事もでき、環境も素晴らしい。

二人が到着した時、熊谷玲子と佐藤然はすでに来ていて、二人で釣りをしていた。

もちろん、釣りをしながらも喧嘩は忘れない……

「佐藤然、お前目が見えないのか?私の魚が掛かりそうなのに、竿を動かすなよ」

「お姉さん、目が悪いのはあなたでしょう。それは風で揺れただけですよ。魚なんて掛かってません。幻覚ですよ。言っておきますが、私はさっきここで釣ってましたけど、一匹も掛からなかったんです。場所を変えた方がいいですよ。でないと絶対に釣れませんから」

「私の勝手でしょ。私は太公望の釣りみたいに、掛かりたい者が掛かればいいの。あんたに関係ないでしょ?」熊谷玲子は彼を睨みつけた。

「太公望は魚を釣っていたんじゃないですよ。西の侯爵を待っていただけです。もっと本を読んだ方がいいですよ。ためになりますから」