第493章:断ち切れない毒(3)

永田美世子は一目見て、こう言った。「あなたは本当に買い物が下手ね。この靴なら私だって好きじゃないわ。古すぎるわ、10年前のデザインよ」

「まあまあ、あなたたちは何もわかっていないわ。自分がファッションを理解していないくせに、私のセンスが古いなんて言うなんて。言っておくけど、この靴は私がプライベートスタジオでオーダーメイドしたのよ。デザインは私自身が描いたもので、革も私が選んだの。材料費と手作り料を合わせて2万円近くかかったのよ。ブランド品じゃないけど、完全なハンドメイドで、履き心地がとてもいいの。岑は派手なハイヒールは必要ないわ。何かイベントがあれば、旦那さんが用意してくれるでしょう。普段は病院を走り回ることが多いから、こういう靴でないと快適じゃないのよ」

原幸治の熱心な説明を聞いて、青木岑は少し納得した気がした……

「でも、こんな靴に2万円近くかかるなんて、幸治、騙されてないの?」青木岑は靴を床に置き、片足を入れてみると、ぴったりだった。

「もちろん違うよ。価値に見合ってるんだ。履いてみて。5年履いても壊れないって保証するよ」原幸治は胸を叩いて断言した。

西尾聡雄も見て悪くないと思った。「デザインは普通だけど、革の質はいいわね。仕事用にちょうどいいわ。彼の気持ちが込められているわ」

「わかったわ、わかったわ。もらうわ。ありがとう、原幸治くん」青木岑はとても嬉しそうだった。

原幸治が節約した生活費で姉に2万円近い靴を買ってくれたことに、青木岑は深く感動した。

「お母さん……お姉ちゃんへのプレゼントも出してあげたら?」原幸治は母親に向かって言った。

「どんなプレゼント?」永田美世子は言いたがらないようだった。

「ほら、早く出してよ。この前毛糸を買って、セーターを編んでたの見たよ」

「あれは……私のために編んでたのよ」永田美世子は依然として強情を張っていた。

「ありえないよ。あんな派手なピンク色で、もしお母さんがそのセーターを着て外を歩いたら、もう母さんとは呼ばないで、聖母皇太后様って呼ぶからね」

幸治の言葉を聞いて、西尾聡雄と青木岑は笑い出した……

永田美世子も少し照れくさそうに立ち上がり、「でたらめを言うんじゃないわよ」と叱った。

その後、永田美世子は後ろのクローゼットからハンドバッグを取り出し、青木岑に渡した。