第497章:断ち切れない毒(7)

熊谷玲子のそんな指摘で、佐藤然はすぐに気付き、身を翻して自分のバッグから何かを取り出した。

豪華な包装もなく、手提げ袋もなく、ただポンと机の上に置いた。

「青木岑……これ、プレゼント。お誕生日おめでとう」

佐藤然のこのプレゼントに、他の三人は目を丸くした……

「冗談でしょう?佐藤然……本気じゃないよね?」青木岑はプレゼントを見て、呆然と彼を見つめた。

「もちろん冗談じゃないよ。心からのプレゼントだ。これはそう簡単に手に入るものじゃない。特別に融通してもらったんだ。シリアルナンバー付きの本物だぞ。ネットで売ってる偽物とは全然違う。金があっても手に入らないものだ、わかる?」

青木岑は机の上の真新しい手錠を見つめながら、心の中で千頭のアルパカが駆け抜けていくような気分だった……

本物の手錠だ。新品で、シリアルナンバーまで付いている。

でも誕生日プレゼントに手錠を贈るなんて、佐藤然は頭がおかしくなったんじゃないか?

しかし、熊谷玲子は佐藤然のことをよく理解していて、すぐに事情を察した。

笑いながら佐藤然を叱った:「佐藤然、あなたって本当にひどいわね?新婚さんなのに、SMプレイを勧めるなんて、ちょっと過激すぎない?」

西尾聡雄:……

青木岑:……

「何を怖がることがある?これは情趣玩具だよ、わかる?特に新婚夫婦には、新しいことを試してみるべきだ。関係を深めるのに役立つ。青木岑、遠慮するなよ。怖がることはない。これは西尾聡雄を縛るためのもので、君を縛るためのものじゃない。西尾聡雄に付けて、好きなように扱えばいい。どんなポーズでも君の自由だ」佐藤然は真面目くさって言った。

西尾聡雄:……

青木岑:……

「プレゼントに手錠を贈る人を見たのは初めてよ。佐藤然……本当に救いようがないわね」青木岑は心から感嘆した。

「俺は普通じゃないからな、ハハハ」

「私から見れば、あなたはただケチなだけよ。この守銭奴、高価なものを贈りたくないだけでしょ。ダメよ、今日の食事代はあなたの奢り。夜は月下倶楽部にも連れて行ってもらうわ。そうじゃないと許さないわよ」熊谷玲子は口をとがらせて皮肉った。