第499章:断ち切れない毒(9)

「デートしない?」桑原勝は歯ぎしりしながら関口遥を見つめた。

「はは、やめておくよ。俺は女の子が好きで、男は好きじゃないんだ。お前が少しイケメンでも無理だな」

桑原勝は、一人の女の子が投稿した何気ないSNSの投稿で、こんなにも長時間喜べるとは思ってもみなかった。

青木岑と出会ってから、世界が急に美しく見えるようになった……

青木岑はまだ彼女ではないが、以前のような享楽的な生活とは全く違う感覚だった。

少なくとも毎日が楽しみになった……青木岑は彼にとって、やめられない麻薬のような存在で、一度触れたら深く魅了されてしまう。

「そういえば、本題だけど、岩本奈義は刑務所でかなり苦労したって聞いたぞ。女子刑務所がどんなところか知ってるだろう?男子刑務所より暗部が怖いんだぜ。本当に全然心配じゃないのか?」関口遥はゴシップ好きで、矢野川たちと私的に色々な話をしていた。岩本奈義の刑務所での生活について、彼らは全て知っていた。ある御曹司の家族が刑務所の上層部にいて、岩本奈義がどんな目に遭っているか、誰よりも詳しく知っていた。

「心配?皮を剥がさなかっただけでもマシだろう」

岩本奈義のことを考えると、桑原勝の目が冷たくなった……

青木岑が無事でよかった。さもなければ、岩本奈義が十回死んでも、青木岑の命一つには及ばない。

女同士なら少しの策略を弄んでもいい、争いをしてもいい。しかし岩本奈義はあまりにも無謀に裏社会の連中を使った。

桑原勝は激怒した……

幸い青木岑は並の人間ではなく、いつも冷静に危機を乗り越えられた……

だから岩本奈義が刑務所でどんな目に遭っているか、桑原勝は当然よく知っていた。八年間彼女を苦しめるつもりだった。

苦痛の中で反省させるために……

「ふん……本当に情けを知らないな。でもあの女も悪い、何で青木岑に喧嘩を売ったんだ?理解できない。青木岑は彼女が手を出せるような相手じゃないだろう?人は少しは分別を持たないとな、さもないと死に方も分からないぞ」

関口遥は感慨深げに言った……

桑原勝は黙ったまま、時々スマホを取り出しては、画面を見つめ続けた。

偶然撮れたあの写真は、いくら見ても見飽きることがないようだった。

月下クラブのVIP個室にて