「大丈夫だと思うよ。私は体質がいいから」青木岑は笑った。
二人が帰ってから、青木岑は疲れて風呂に入り、出てきてすぐにベッドに横たわった。
髪の毛がまだ完全に乾いていない……
「お前、起きろ」
「なに?」
「髪が乾いてないぞ」
「大丈夫よ、明日には乾くわ」
西尾聡雄:……
「ダメだ、風邪を引くぞ」青木岑が望むか望まないかに関係なく、西尾聡雄は彼女を布団から引っ張り出した。
そしてドライヤーを手に取り、青木岑の髪の毛を一筋一筋丁寧に乾かしていった。
「あなた、私を娘みたいに扱ってない?」青木岑は笑いながら尋ねた。
「お前ほど我儘な娘はいないよ」
「我儘って言わないで。今日は私の誕生日で、まだ12時前だから、私が一番偉いの」
「はいはい、お前が一番偉い。胸以外は……」西尾聡雄は小声で呟いた。
「何て言った?」青木岑は怒ったように振り返った。
「えっと……お前が一番偉いし、胸も大きいって」
「賢いじゃない」青木岑は笑って前を向いた。
この誕生日はとても楽しく過ごせた。みんなからのプレゼントもとても特別で、佐藤然の手錠以外は、すべて気に入った。
ただ、桑原勝からの弾丸の薬莢については少し悩んでいた。彼女にとって、桑原勝の約束は貴重すぎるからだ。
お金では計れないものだった……
翌朝
青木岑は夜勤だったので、昼間は特に予定がなく、青木源人から電話を受けた後、直接青木グループ本社へ向かった。
取締役会で、青木源人は正式に青木岑の青木家への加入を紹介した。
取締役会のメンバーは全員、彼女が青木の隠し子だということを知っていたので、黙認した。
その後、青木源人は2.8パーセントの株式を青木岑の名義に移したが、彼女には支配権がなかった。これは前もって準備された策略で、青木岑も驚かなかった。
青木源人は彼女を単なる表面上の存在、操り人形として使い、青木重徳に対抗し、青木隼人を守りたいだけだった。
神谷香織が青木岑に目配せをし、青木岑はすぐに意図を理解した。そこで朝会で青木重徳に向かって言った。「青木社長、お願いがあります」
「言ってみろ」青木重徳はいつもの軽薄な態度を完全に失い、とても真剣で、少し普段の彼らしくなかった。