青木岑は今日、白いTシャツに赤いショートコート、黒いズボンという、あまり改まった装いではなかったが、若々しく活気に満ちていて、24歳の娘には全く見えず、むしろ大学生のようだった。
「青木社長、何かご用でしょうか?」青木岑は青木重徳との接触を避けたかったので、率直に尋ねた。
「爺さんの側に付いたのか?」青木重徳は笑いながら聞いた。
「そうよ、見たでしょう?」
「君ったら、強情なんだから……まあいい、それはそれとして、昨日のコアラ、気に入った?」
「もちろん気に入ったわ。八百万円以上するコアラよ、誰が気に入らないっていうの?」青木岑はわざと顔を上げて言った。
青木重徳は思わず笑い出した……
「何を笑ってるの?」
「君があまりにも率直すぎるからさ……」
「当たり前よ。私は回りくどいのは嫌いなの。あなたたちみたいに、プレゼントするのにも隠し立てするなんて、呆れるわ」
「そうしなければ、君は受け取ってくれただろうか?これが戦略というものさ、分かるかい?」
「分かるわ。青木社長の手腕は十分理解したわ。でも、施しは受けられないわ。こんな高価なものを私にくれるなんて、きっと私を味方につけて、爺さんと戦おうとしてるんでしょう?」
「NO、爺さんたちの相手なら、私一人で十分さ」青木重徳は首を振った。
「じゃあ、あなたは……?」
「私が誰にプレゼントを贈るか、何を贈るかは、純粋に私の気分次第さ。気にしないでくれ。青木基金の方は君がよく管理してくれている。もし君が厳しくチェックしていなければ、多くの資金の流れが不透明になっていただろう。結局、層を剥がしていくと残るものは少ないからね。私はあまり関与していないが、帳簿は一目瞭然だ。これは私からの褒美だと思ってくれ」
「そう、それならば遠慮なく頂きますわ……」青木岑は答えた。
「私に対しては……遠慮する必要はないよ」青木重徳は言い終わると、地球儀を回し、何か考え込んでいるようだった。
「他に用件はありますか?社長。なければ、私は失礼します」
「ああ」
青木重徳のオフィスを出ると、また女性秘書に呼び止められた。
「青木さん、これは社長が渡すようにと仰った会社開発のスキンケア製品です」
「今度は何?」青木岑は不思議そうに尋ねた。