「私が派遣した者が、あなたが生まれた診療所を調べました。門番をしていた伯父さんがいて、その人はとても正直な方で、診療所で10年間門番として働いていたそうです。その後、姪に連れられて南の方で老後を過ごすことになり、数日前に東陶町に戻ってきたばかりです。住所と情報を確認したところ、何か手がかりになりそうです」と西尾聡雄はゆっくりと話した。
青木岑は気分が良くなり、すぐに西尾聡雄の手を引いて外へ向かった……
「時間を無駄にはできません。早く行きましょう」
「マイバッハは使わないの?」階下で、西尾聡雄がフォルクスワーゲンCCに乗り込むのを見て、青木岑は少し疑問に思った。
マイバッハの方が早いのではないだろうか?
「先に乗って、説明するから」西尾聡雄は彼女を見つめた。
青木岑は察して、助手席に座り、シートベルトを締めた。そして車はゆっくりと御苑を出発した。