しばらくの間、誰も応答がなかった……
西尾聡雄は諦めきれず、ドアを開けようとした時、後ろから声が聞こえてきた。
「誰を探してるの?」
青木岑が振り返ると、十五、六歳くらいの少年が立っていた。肌は浅黒く、背が高かった。
バスケットボールを持ち、汗びっしょりで、どうやら今バスケから帰ってきたところのようだった。
「坊や、この家の持ち主を探してるんだけど、見かけたことある?」青木岑は丁寧に尋ねた。
「私たちは永田伯父の遠い親戚なんです」西尾聡雄が付け加えた。
「永田爺さんを探してるの……」少年は少し変な表情をした。
「家にいないの?数日前に戻ってきたって聞いたんだけど」西尾聡雄が言った。
「爺さんは……もう亡くなりました」少年は少し躊躇してから、ゆっくりと言った。
「え?亡くなった?」青木岑と西尾聡雄は同時に驚いて叫んだ。