第28章:東陶町の真相(8)

「手放すだって?絶対にありえない」桑原勝は激しく洋酒を一気に飲んだ。

「なぜそこまで……ふふ」

「俺、桑原勝が決めたことは、途中で投げ出すようなことは絶対にない。俺は卑怯な手は使わない。堂々と青木岑を奪うだけだ。彼女が俺のことを好きじゃなくても構わない。待てばいい。彼女が離婚するのを、西尾聡雄と別れるのを、そして少しずつ俺のことを好きになってくれるのを。どうせ時間はたっぷりあるんだ、本当に構わない……」そう言って、桑原勝は再び一気に酒を飲み干した。

青木重徳には分かっていた。彼の機嫌が相当悪いということが……

「私の岑妹は、悪魔なんだよ……絶世の美貌があるわけでもなく、強大な身分や背景があるわけでもないのに、彼女に近づく者は皆、彼女から離れられなくなってしまう……」青木重徳は感慨深げに言った。