第16章:知能指数の高い変態(6)

「そんなにないよ」青木岑は謙虚に微笑んだ。

「そんなにないってどのくらい?」

「たった二十数万だよ。あなたの五分の一にも満たないわ」

「そんなに多くなくていい。昇級できれば十分だよ」

「昇級しても面白くないよ。どうせ最後は優勝できないし」

「誰が言った?」西尾聡雄は笑いながら尋ねた。

「言うまでもないでしょう。あなたがいるのに、私なんかが優勝できるわけないじゃない」青木岑は口を尖らせ、まるで不満げな新妻のような表情を浮かべた。

「優勝を譲ってあげてもいいよ」

「いらない。あなたに優勝してほしい」

「なぜ?」

「だって、あなたが優勝する方が私が優勝するより嬉しいもの。それに、私なんて誰も知らないし、私が優勝しても意味ないでしょう。でもあなたはGKを代表しているから、今回優勝すれば、会社の今後の発展にも、あなた個人の評価にもすごくプラスになるはずだから」