「仕方ないわね、運が悪かったの」熊谷玲子は眉をひそめて嘆いた。
主催者側が他人の手助けを禁止していたため、自分で自分の勝負をするしかなく、そのため熊谷玲子は最初の犠牲者となってしまった。
彼女は青木岑に助けを求めることができず、自分の運を試すしかなかったが、相手が強すぎたのか、それとも自分の運が悪すぎたのか。
二百万円があっという間に四十万円まで減ってしまった……
「どうしよう、巻き返す方法を考えてくれない?」熊谷玲子は青木岑の手を引っ張った。
「仕方ないわ、負けは負け。脱落した方がいいわよ。まさか本当に優勝して賭博の神様になりたいわけじゃないでしょう」青木岑は、玲子のような技術も高い知能もない人は、ゲームを楽しむ程度でいいと思った。負けは負けとして受け入れればいい。これからは気楽に観客として楽しめるし、緊張したり心配したりする必要もない。
「でも……あのうるさい警察官が私のことを笑うわ」熊谷玲子は心配そうに言った。
「ハハハ……大丈夫よ。だって彼も成績悪いし、きっとあなたと同じように脱落するわよ」
「本当?ハハハハ、それなら安心だわ」道連れがいると思うと、熊谷玲子は佐藤然も負けると聞いて、急に気が楽になった。
青木岑は西尾聡雄の側に戻って少し立ち止まった。彼女の西尾様は全く心配する必要がないのだから。
勝ち金が山のように積まれ、西尾聡雄のテーブルの他の三人のプレイヤーは、ほぼ全て負けていた。
一時間も経たないうちに、彼は六百万円を勝ち取り、その後西尾聡雄は立ち上がって、青木岑の腰に手を回した。
「どう?妻よ」
「まだ二十八万円しか勝ってないわ」青木岑は笑って言った。
「大丈夫、焦る必要はない。まだ一時間以上あるから、飲み物でも飲みに行こう」
その後、西尾聡雄は青木岑を抱きながら休憩エリアに向かい、コーヒーを二杯注文した。
佐藤然と熊谷玲子はすでに全て失い、傍らで景色を眺めていた……
佐藤然:あの夫婦は本当に異常だよ。まだ時間があるのにコーヒーを飲みに行くなんて。
熊谷玲子:あの人たちは必ず勝てる自信があるのよ。私たちとは違うわ。
佐藤然:じゃあ、お前は金持ちの旦那でも釣ればいいじゃないか?
熊谷玲子:釣るって何よ!私のテーブルはおばさんとおじいちゃんばっかりだったわよ。
佐藤然:ハハハハハ……