「とんでもない。彼女がどんな人か知っているのか?彼女に手を出すなんて」
「青木家の私生児じゃないか?噂によると、青木家とも仲が悪いらしいよ。青木重徳がどうして彼女を基金会の会長にしたのか、頭がおかしくなったんじゃないかな」
「彼女は青木家の私生児というだけじゃない。吉田信興が重視している人物でもある。吉田のような老狐が理由もなく誰かを育てることはないはずだ。きっと彼女には知られていない背景があるんだ」
「どんな背景?吉田の愛人か?」阿部部長は軽蔑的に言った。
「それは気にするな。とにかく軽はずみな行動は控えろ……」
「義兄さんは慎重すぎますよ。二十代の女に何ができるっていうんです?大衆車からアウディR8に乗り換えたのを見れば、金持ちにたかっているのは明らかじゃないですか。南区の看護師で金持ちと付き合ったり、囲われたりしていない人なんていませんよ。あの給料じゃベンツやBMWなんて買えるわけないでしょう。青木岑はまともぶっていますが、結局は拝金女です。スポーツカーだってどこから来たと思います?先日、桑原坊ちゃんがここで療養していた時、二人の間に噂があったそうですよ」