第38章:前世の借り(その8)

ドアをノックして、青木岑は中に入った……

坂本副院長はゆっくりとお茶を飲んでいた。吉田院長とは違い、彼は特に口が上手い人物だった。

古狸で、しかも策略家だった。青木岑は彼の人柄が好きではなかったが、仕方がなかった。彼はベテラン社員だったからだ。

しかも上層部の幹部でもあるため、多くの場合、付き合わざるを得なかった……

「青木さん、来たね。」

「坂本副院長、お呼びでしょうか?」

「さあさあ、まず座って。」

彼のそんな丁寧な態度に、かえって青木岑は不安を感じ始めた。

青木岑は平然と椅子に座り、坂本副院長は手のお茶を置いて、ゆっくりと言った。「青木さんね、あなたは我々の南区に来てからしばらく経ちましたね。仕事ぶりは非常に優れていて、とても優秀です。上司として私はあなたの仕事への姿勢と献身的な精神を高く評価していますが、しかし……」

青木岑は彼が言外に何かを含んでいると思った。ただ褒めるだけではないはずだ。

「しかし最近、あなたの休暇の回数が特に多いですね。時には事前申請もなく、いきなり三日間の休暇を取る。ご存知の通り、我々の南区は忙しく、人手不足なんです。あなたのこのような行動は、私を困らせています。特に吉田院長があなたの休暇を直接承認したことについて。でも考えてみてください。吉田院長は今第一病院を主管していて、南区はやはり私が担当しているので……私は思うのですが、今後何か困ったことがあれば私に言ってくれればいい。吉田院長を煩わせる必要はありません。彼は多忙で、こういった些細なことに関わりたくないでしょう。どう思いますか?」

青木岑はこれを聞いて、心の中で笑った。なるほど、自分が上司を飛び越えて休暇を取ったことで、彼の面子を潰したからだ。

でも雲頂山への三日間とギャンブラー号への今回の件は、全て西尾聡雄が決めて申請したのに。

彼女自身は休暇を申請する暇もなかったのだ……

しかし青木岑は坂本副院長と争いたくなかったので、ただうなずいて合わせるように言った。「坂本副院長のおっしゃる通りです。今後は気をつけます。」

「うん、今回のことは不問に付しましょう。まだ来て一年も経っていないので、多くのことがまだよく分かっていないでしょう。徐々に理解していくでしょう。」

「はい。」青木岑はうなずいた。