「あなたの精神状態は普通の人よりもいいみたいね。足が痛いようには全然見えないわ」青木岑は資料を抱えながら、矢野川のところへ歩いていった。
「精神状態と足の痛みは関係ないよ。僕は楽観主義者だから、足が折れても、食べるものは食べるし、飲むものは飲むさ」
青木岑はこの口の達者な男の言葉を無視して、彼のカルテを見つめた。
バスケットボールで足を捻挫しただけ。実際にはとても些細なことで、中医で推拿を受けて、しばらく休養すれば治るはずだった。
わざわざ南区まで来る必要なんてあったのだろうか。まるでお金を無駄遣いしているようなものだ。
青木岑は資料を閉じ、黒縁の眼鏡越しに矢野川を見つめた。「カルテを確認しましたが、南区での療養は全く必要ありません。自宅で休養すれば治るはずです。本当にここでベッドを占有するつもりですか?」