第41章:私もあなたの弟(1)

「どうしてここに来たの?」青木岑は桑原勝を見て、実は驚きはしなかった。矢野川が入院してからだ。

彼女は桑原勝が必ず来ると思っていた……

「友達がここに入院してるんだ。あなたの科だよ」

「知ってるわ、矢野川でしょう?」青木岑はミルクティーを手に取って一口飲んだ。

「うん、そうだよ」

「彼の状態は入院する必要はないのに、療養に来たのはあなたの考えなの?」青木岑は率直に尋ねた。

「僕のアイデアじゃないって言ったら、信じてくれる?」桑原勝は真剣に青木岑を見つめた。

実は今回は本当に彼のアイデアではなかった。彼の性格なら、青木岑に会いたければ、自分で足を捻るはずだった。

矢野川が来たのは、関口遥とバスケをしていて怪我をしたからで、中医の整体を受けたかったからだ。

すると関口遥がひらめいて、この機会に乗じて南区に入院し、桑原様に青木岑に会うチャンスを作ろうと提案した。

そうして、あの方は思いがけず南区に来て、いろいろと騒ぎを起こしてしまった。

青木岑は彼の言葉に答えなかった。彼女は桑原勝とそんな真剣な話をしたくなかった……

だから話題をそらして、「ミルクティーの味、良いわね。とても本格的」

「気に入ったなら、毎日買ってくるよ」桑原勝は彼女の顔をじっと見つめた。

青木岑は桑原勝の目を見る勇気が出なくなってしまった……

なぜなら桑原勝が真剣になると、彼女は何を言えばいいのか分からなくなるから。

ギャンブラー号であの日、彼女は彼の心を傷つけ、一曲のダンスのチャンスさえ与えなかった。

彼がこれで諦めると思っていたのに、まさか、彼は過去の恨みを忘れ、引き続き好意を示し続けるとは。

それは青木岑を困らせ、苦しめた……

「桑原勝……こんなことしなくていいの、私たちの間は……?」

「僕たちの関係がどうなのか、僕にはよく分かってる。安心して、僕はあなたを困らせたりしない。僕があなたに優しくするのは僕の勝手で、あなたが受け入れないのはあなたの自由だ。何の矛盾もないよ」

「でも……桑原勝、分かってるでしょう。私はもう結婚してるのよ」青木岑は温かいミルクティーを持ちながら、もう一度注意を促した。

「分かってるよ……」桑原勝は苦笑いを浮かべた。

「だから……ある事は……?」