「どうしてここに来たの?」青木岑は桑原勝を見て、実は驚きはしなかった。矢野川が入院してからだ。
彼女は桑原勝が必ず来ると思っていた……
「友達がここに入院してるんだ。あなたの科だよ」
「知ってるわ、矢野川でしょう?」青木岑はミルクティーを手に取って一口飲んだ。
「うん、そうだよ」
「彼の状態は入院する必要はないのに、療養に来たのはあなたの考えなの?」青木岑は率直に尋ねた。
「僕のアイデアじゃないって言ったら、信じてくれる?」桑原勝は真剣に青木岑を見つめた。
実は今回は本当に彼のアイデアではなかった。彼の性格なら、青木岑に会いたければ、自分で足を捻るはずだった。
矢野川が来たのは、関口遥とバスケをしていて怪我をしたからで、中医の整体を受けたかったからだ。
すると関口遥がひらめいて、この機会に乗じて南区に入院し、桑原様に青木岑に会うチャンスを作ろうと提案した。