彼はペン立てから黒いボールペンを取り出し、慎重に青木岑の顔に描き始めた……
両側に三本ずつ、青木岑に可愛らしい大きな髭を加えた……
看護師さんは笑いを堪えきれず、でも笑えないので、ずっと口を手で押さえていた。
描き終わった後、桑原勝はまだ満足できず、仕上げに青木岑の額に「王」の字を書き加えた。
まるで血まみれの可愛い子虎のよう……
今度こそ、桑原勝は満足げに、慎重に携帯を取り出し、マナーモードに設定した。
そしてカシャッと一枚、青木岑のこの瞬間を撮影した……
チャリティーイベントの写真を除けば、これが二枚目の青木岑の単独写真だった。彼は確信していた、これは西尾聡雄も持っていない限定版だと。
いたずらを終えた後、桑原勝は二万円を看護師さんに渡した。口止め料なのか、悪事への加担料なのかは不明だった。