西尾聡雄は写真を見て、冷静に尋ねた。「母さん、この写真はどこから手に入れたの?」
写真には桑原勝と青木岑がレストランで食事をしている様子が写っていた。
二人は談笑しているようで、桑原勝は優しい眼差しで青木岑を見つめ、青木岑は俯いて食事をしていた。
横顔だけだったが、画質が非常に鮮明だったため、間違いなく青木岑だと判断できた。
「どこから手に入れたかは気にしなくていいわ。この女、品がないと思わない?あなたと入籍したのに、外で浮気してるなんて。うちはお金持ちなのに、食べ物も着る物にも困らないはずなのに、外で色目を使うなんて、下劣じゃないかしら?」
「母さん……誰かに彼女を尾行させて、この写真を撮らせたの?」
西尾聡雄の表情は良くなかった。それは青木岑の写真のせいではなく、母親が青木岑を尾行して、意図的に調べているのではないかと心配したからだ。
「まさか!私をそんな卑劣な人間だと思っているの?暇つぶしに彼女を盗撮するなんて、そんな価値もないわ。これは1時間前に見知らぬ番号から送られてきたの。折り返し電話もしたけど、つながらなかったわ」西尾奥さんは声を荒げて弁解した。
「見せて」
西尾聡雄は母親の携帯を受け取り、確認してみると、確かに別の番号から送られてきた写メールだった。
しかし、その番号は暗号のような文字列で、かけ直すことはできなかった。西尾聡雄は、このような番号はハッカーがネット上で操作したものだと知っていた。
痕跡は一切残らない……
「分かった」
「何が分かったって?あなたは彼女と離婚しなければならないわ。こんな女、西尾家には要らないわ」
西尾奥さんは写真を手に入れるや否や、すぐさま会社に駆けつけて告げ口をした。
青木岑と西尾聡雄の関係を早急に壊すため……
「母さん……そんなに心配することないよ。これは何でもない、ただの日常的な写真だよ。病院には大勢の人が出入りしていて、男性の同僚も多いんだから、一緒に食事するのは普通のことじゃないか」西尾聡雄は笑いながら言った。