第60章:一体誰が盗撮?(10)

「母さん……私はちゃんと分かってます。私がバカじゃないと認めてくれたなら、私の判断力も信じてください、OK?」

「西尾……お母さんはね……」西尾奥さんの言葉は息子に遮られた。

「永田さん、母を外に案内して。疲れているから」西尾聡雄は冷たく命じた。

「はい、ボス」

「社長夫人、こちらへどうぞ。ボスには重要な書類の署名がありますので」永田さんは母子の戦いを慎重に見守りながら、どちらも怒らせないように気を付けた。

西尾奥さんは最後には仕方なく、歯を食いしばって出て行った……

西尾聡雄はその後も仕事に没頭し続けた……

退社時間が近づいた頃、彼はパソコンを閉じ、永田さんを見て尋ねた。「もし母親と妻が同時に溺れたら、誰を先に助ける?」

「えっと……ボス、冗談はやめてください」

「早く答えろ」西尾聡雄は急かした。