第61章:西尾聡雄の反撃(1)

「あぁ......私の幻覚かしら?うちの西尾様がどうしてここにいらっしゃるの?」青木岑は笑いながら言った。

「君が恋しかったからさ」

西尾聡雄の口元には、ほんのりとした優しさが漂っていた......

もしこの瞬間、彼と目が合えば、きっとその優しい表情に溶けてしまうことだろう。

青木岑は何も言わず、すぐに飛びついた......

両手で西尾聡雄の首に抱きついて......

ここは個室のオフィスで良かった。普段は冷静そのものの看護師長の、

こんな甘えん坊な一面を誰にも見られることはない。

「今、仕事終わったの?」青木岑は顔を上げて笑顔で尋ねた。

「ああ」

「まだ食事してないでしょう?」

「してない」

「あぁ......どうしよう、私もう食べちゃったの。来るって分かってたら待ってたのに」

「大丈夫、お腹も空いてないし」