第62章：西尾聡雄の反撃(2)

「彼の心の結び目を解きほぐせるかどうか試してみようと思います。そして、彼の注意を集中させる別の方法を考えています。人が生きる意欲を失うのは、この世界に執着するものが何もないからです。私は彼が執着できるものを見つけ出し、自殺念慮を断ち切らなければなりません」青木岑は自信に満ちた様子で、西尾聡雄博士に自分の考えを話していました。

「言うは易く行うは難し、岑……うつ病患者には心の鍵があって、簡単には他人に開かないものだ。これは難しい課題かもしれない。この症例は治療が難しいが、君がやりたいというなら、方法を考えるのを手伝おう」

「ありがとう、旦那様」青木岑は西尾聡雄が彼女にこの患者を諦めるよう説得すると思っていました。

まさか100%支持してくれるとは思わず、瞬時に気分が良くなりました……

そして彼女は茶目っ気たっぷりにサーチマーを一つ取り、半分かじって残りを西尾聡雄に渡しました。「これ美味しいんだけど、甘すぎるから、あなたの健康のために半分は私が食べないといけないの」

西尾聡雄は笑いながらサーチマーを受け取り、静かに食べ始めました。青木岑が食べかけたものだということを全く気にする様子もありませんでした。

「この患者は何歳なんだ？」西尾聡雄は食べながら何気なく尋ねました。

青木岑は一瞬固まりました。坂口晴人の年齢を本当に知らなかったからです……マネージャーはこの件についてかなり慎重で、カルテにも書かれていませんでした。

「どうした？」青木岑が少し固まるのを見て、西尾聡雄が尋ねました。

「私は...彼の年齢を知らないの。あの、彼は俳優だから...これはかなり機密事項で、内田部長に電話で聞いてみましょうか？」そう言って青木岑は電話をかけようとしました。

しかし西尾聡雄が「必要ない」と言いました。

そう言うと、西尾聡雄はスマートフォンを開いて、百度百科で坂口晴人を検索しました。そこには1992年生まれと書かれていました。

つまり今年25歳ということになります。仮に偽りがあったとしても、上下の誤差はそれほど大きくないでしょう。

「患者は25-30歳の間で、まだ若いから、治癒の可能性は十分にある。君の判断は正しい。まずは投薬を中止して、正常な思考を取り戻させる。ただし、現在の状態はかなり深刻だから、急な投薬中止は危険だ。だから私の提案は...催眠療法だ」