第54章:一体誰が盗撮?(4)

「お母さん……正直に言うと、彼は私に……本当に本当に優しくて、すごくすごく良くしてくれるの」

青木岑は「すごく」を二回も重ねて使い、その優しさを最大限に表現した……

永田美世子は青木岑のことをよく知っていた。彼女は嘘をつく子ではないので、言っていることは本当だと信じていた。

「そう言ってくれると、少し安心したわ。結局……彼は両親のような人面獣心ではないってことね……」

「お母さん……理解してくれてありがとう」

「理解しないとどうするの。もうそんなに時間が経ったのよ。幸治の言う通り、この何年もの間、あなたも疲れた、私も疲れた、みんな疲れたわ。私が執着し続けても、苦しむのはあなただけ。母娘なのに、自分の娘を苦しめる必要なんてないわ」

「お母さん……ありがとう」青木岑は永田美世子の手を握りしめ、感動で声を震わせた。

こんなに早く母親の理解を得られるとは思っていなかった……

「これからもし彼があなたを裏切ったら、私と幸治は絶対に許さないわよ。お金持ちだろうが何だろうが、私たちは怖くないわ。私はもう年だから、この命一つしかないけど、あなたと幸治のためなら、何でも賭けられるわ」

永田美世子は典型的な口は厳しいが心は優しいタイプで、だからこそ彼女の言葉は全て心からのものだと青木岑にはわかっていた。

「そんなことにはならないわ、お母さん……もし彼が私を裏切ったら、私自身が許さないから」青木岑は微笑んだ。

母親と簡単な昼食を食べた。おかずは二品で、肉と野菜、それにスープ。

永田美世子は青木岑の様子があまり良くないと思ったのか、何度もスープをよそってくれた。

青木岑は断りきれず、三杯も飲んで、もう飲めなくなってしまった……

食事の後、母親とまた少し話をして、携帯を見ると時間になっていた。

南区に戻るとすぐに、神経内科の内田部長が急用で探していると聞いた。

青木岑は白衣に着替えてすぐに5階の神経内科へ向かった……

以前の山田昭の件で、青木岑は神経内科の人々とよく接触していたため、自然と親しくなっていた。

神経内科の内田部長は青木岑の才能を高く評価していて、以前吉田院長が開いた大会で。

青木岑が坂本副院長と公に対立し、神経内科について的確な分析をしたことがあった。