第161章:腹黒い女の手口(1)

「うん、友達に会いに行くの」青木岑は服を着ながら言った。

西尾聡雄は腕時計を見て、「遅すぎる。この時間は危ないから、送っていくよ」

「うん、ありがとう」青木岑は西尾聡雄の心配を理解していたので、断らなかった。

二人は一緒に階段を降り、西尾聡雄はマイバッハを運転して、月下倶楽部へ向かった……

「車で待っているから、飲みすぎないでね」西尾聡雄は心配そうに言い聞かせた。

「分かってるわ、西尾様。私、ちゃんと言うことを聞くから、ここで待っていてね」

青木岑は西尾聡雄の気遣いに感謝していた。中島美玖は女友達とはいえ、二人とはそれほど親しくなかったからだ。

熊谷玲子のように高校時代からの付き合いではなかった。

だから、西尾聡雄が車で待っているのが一番賢明な選択だった。遊び終わったら妻を家に連れて帰ればいい。

月下倶楽部は様々な人が出入りする場所だったが、リックの店だったので西尾聡雄は心配せず、一緒に入らなかった。

青木岑は急いで出てきたので、コーディネートする余裕もなく、黒い長めのパーカーを着て、下は黒いレギンスだけだった……

しかし実際、この深まる秋には、この服装では寒さをしのげない……

車を降りると、冷たい風が顔に当たり、青木岑は震えた。

そして小走りで月下倶楽部に入り、最上階の個室へ直行した。

「えっと?どの部屋だったかな?AかBかCかDだったっけ?」青木岑は中島美玖からの電話を受けた時、ぼんやりしていたので、よく覚えていなかった。

豪華な個室を見つめながら困惑していた……

中島美玖に電話をかけようと携帯を取り出した時、突然隣のB個室のドアが開いた。

胸の大きな矢野川がふらふらと出てきて、青木岑を見るなり目が覚めたような様子になった。

「看護師長……あれ、どうしてここに?私の目の錯覚?」

「友達に会いに来たの」青木岑は冷静に答えた。

「はは……もしかして桑原様?中にいるよ、早く早く……」矢野川はノリの良い人で。

青木岑が個室の前に現れるのを見て、すぐに彼女を桑原勝の前に押し出そうとした……

「違うわ……女友達に会いに来たの」青木岑は説明した。

そのとき、中島美玖から電話がかかってきた……

「着いた?」

「あ……着いたわ。何号室だっけ?」青木岑は急いで尋ねた。

「C」