第154章:心配していた事が起きた(4)

「母さん……一時の怒りだと思っていたのに。私が隠していたことに怒っているだけだと。青木岑がどうあれ、もう私たちの家族なのに、外の人と手を組んで家の恥を晒すなんて……私たちの名誉を気にしないのはまだしも、会社の名誉まで考えないなんて、本当に酷いやり方だ」

「会社の名誉なんて考えていないわけじゃないわ。会社のことを考えるなら、青木岑なんか娶るべきじゃなかったのよ。説教しないで。私は会社の経営なんて分からないけど、道理くらいは分かっているわ」西尾奥さんは息子が青木岑をかばい続けることに我慢できなかった。

だから腹立たしく、息子が一言言うたびに反論した……

「分かりました。そこまで言うなら、もう何も言うことはありません……母さんが考えを改めるまで、私たちはこの家には戻ってきません」そう言って、西尾聡雄は背を向けて歩き出した。