「嘘なんかついてないわ」青木岑はまだ認めようとしなかった。
「そう?じゃあ賭けをしよう。もし君が嘘をついていたら、今夜は3回やることにしようか?」
「いやよ」青木岑はきっぱりと断った。
「まだ嘘じゃないって言うの?」西尾聡雄は彼女の言い訳なんて信じるはずがなかった。
青木岑は事態がばれたことを悟り、仕方なくバッグから赤い手帳を取り出した。
西尾聡雄はパラパラとめくって...口角を少し上げた。
「すごいじゃないか...全科目満点、この成績なら市内の医学のトップになれるぞ」
「トップだとか関係ないわ...これからは心配しなくて済むってことが大事なの...今まで手術を手伝うたびに、この資格がないから通報されないかってビクビクしてたから」
「でも今は大丈夫だ。これからは南区で思いのままにやれるようになったな」
「そうね、これからは胸を張って歩けるわ...」青木岑は笑みを浮かべた。
「本当に良かった...どうやってお祝いしようか?どのホテルがいいかな?」
「いい考えがあるわ。南山城はどう?熊谷玲子と佐藤然はまだ来たことないでしょ?」
「いいね、それはいい考えだ」西尾聡雄は頷いた。
「母と幸治、それに悦子も呼んで、この機会に仲直りしてもらおうと思って...あ、そうそう、美玖も」
「いいよ、君の言う通りにしよう」
西尾聡雄は子供のように興奮している青木岑を見て、自分も何故か気分が良くなった...
青木岑はその後今井伯父に電話をかけた...
今井伯父はすぐに厨房に料理の準備を指示した。
青木岑は次々と電話をかけ、夜7時半に集まることにした。
その後、彼女は西尾聡雄と一緒に果物や海鮮を買いに行き、忙しく立ち回った。
一方
関口遥は桑原勝たちと食事をする予定だったが、中島美玖から電話がかかってきて、迷っているようだった。
「どうしたんだ?」
「美玖から電話があって、青木家に来いって」
「何しに?」矢野川は興味深そうに聞いた。
「青木岑が今日試験に合格したから、お祝いするんだって。南山城の別荘でね。美玖が招待されたんだけど...最近あの子、僕から目を離さないから、一緒に来いって」
「へえ、それはいいじゃないか、行けばいいよ」桑原勝は頷いた。
「おい、そんないい話があるのに桑原様を誘わないのか?」