第17章 人を馬鹿にしすぎる

水野日幸は振り向かず、声で相手が分かった。

曽我若菜の親友で、第四中学校の番長、柳田霞だ。

柳田霞は彼女が黙っているのを見て、傲慢に睨みつけた。「この下賤な女、若菜の足を折らせておいて、よく飯なんか食えるわね。その厚かましい面を見せてもらおうか」

「ふん、恥知らず。分をわきまえない奴、曽我家がなんでこんなのを引き取ったのかしら」

「そうよ、可哀想な私たちの若菜マドンナが、この犬畜生にいじめられて」

「霞姉、やっちゃって！」

柳田霞の取り巻き達が彼女を取り囲み、高笑いを上げた。

水野日幸は平然と食事を続け、人を寄せ付けない冷たい雰囲気を漂わせ、高貴で気品があった。

柳田霞は無視されて腹を立て、手に持っていた飲み物を彼女の食事に直接かけた。「食べなさいよ、さあ食べなさいよ！」

水野日幸は眉をひそめ、目に冷酷な殺気が宿った。

「食べろって言ってんの！」柳田霞はテーブルを叩き、目に悪意を宿し、手で彼女の食事をひっくり返した。

バンという音。

食事がテーブルの上や床に散らばった。

柳田霞はより狂気じみた笑みを浮かべ、床の食事を指差した。「水野日幸、今日これを全部舐めて食べないと、許さないわよ」

周りの取り巻き達も笑い声を上げ、全部舐め取るよう煽り立てた。

見物している学生たちは、水野日幸を同情の目で見つめていた。

曽我若菜の熱心な信者たちの多くは、曽我若菜の足の骨折が彼女に関係していると知ってから、同調して喝采を送った。

二階のフレンチレストランはガラス張りで、一階が一望できた。

「時助、見に行かないの？」大豆田秋白は興味深そうに一階の方を見ていた。

「俺に何の関係がある？」曽我時助は冷笑した。

柳田霞が手を出さなくても、彼も水野日幸を許すつもりはなかった。若菜の足を折らせたのは彼女なのだから。

「君の妹じゃないの？」大豆田秋白は両手で顎を支え、少し上がった目尻に明らかな興味を示していた。

「俺の妹は若菜だけだ！」曽我時助は嫌悪感を露わにして水野日幸から視線を外した。

彼女が？

彼の妹を名乗る資格なんてない！

「そう？」大豆田秋白は笑って、水野日幸を指差した。「でも僕から見れば、彼女の方が君のお母さんに似てるけどね」

曽我時助の瞳が急に縮んだ。「大豆田秋白、でたらめを言うな！」