第14章 世界中で大ブーム

「水野さん、自信ありますか？」水野日幸は彼に向かってこぶしを突き出した。

水野春智は彼女のこぶしに軽く触れた。「お父さんを信じなさい。お父さんは太っているだけで、頭の回転は良いんだよ！」

水野日幸は嬉しそうに自分の部屋に戻り、企画書を書き始めた。

水野春智は娘が楽しげな足取りで鼻歌を歌いながら部屋に入っていくのを見届けてから、目を赤くした出雲絹代を抱きしめた。「心配しないで、私は絶対にあなたと日幸を失望させたりしないから。」

出雲絹代は頷き、かすれた声で言った。「うちの日幸は、この一年間、曽我家でどれほど苦労したことか。」

水野春智は慰めた。「彼女も大人になったんだ。永遠に子供のままではいられない。成熟して物事が分かるようになった。私たちは喜ぶべきだよ。」

娘は以前、少し気まぐれで無邪気だったが、曽我家に行ってから、頼もしくなった。

「あんなに分別があるようになってほしくなかった。」出雲絹代は心が痛み、心配だった。

もちろん、娘が分別があり、自分の考えを持つようになったのは良いことだと分かっていた。

でも、この分別を得るために、どれほどの苦労を経なければならなかったのか！

水野日幸が企画書を書いている途中、QQが突然鳴り出した。サイトの編集者からのメッセージで、誰かが彼女の小説の版権を買いたがっているという連絡だった。

どの女の子も心の中にはお姫様の夢があり、白馬に乗った王子様が自分を迎えに来てくれることを夢見ている。

以前、彼女がまだ純粋なサブヒロインだった頃も、そんな夢を見ていた。

中学生の頃からネットで小説の連載を始めた。

最初は、王子様とお姫様の物語を書いていた。

文才があったので、何冊かの学園ラブストーリーを出版した。

恥ずかしい話だが、百科事典の紹介文は今でも学園ラブストーリーの女王となっている。

その後、紙媒体が衰退し始め、彼女も忙しくなった。

出版物は要求が厳しく、毎日原稿を修正する時間もなく、そのお金も必要なかったので、ペンネームを変えてウェブサイトでラブストーリーを書き始めた。

これは彼女がウェブ小説に転向後の最初の作品で、架空の時代背景の権謀術数もので、一族を皆殺しにされ、奇跡的に生き残った主人公が血の復讐を果たす物語で、連載名は『盛世寵臣』だった。

その後、出版され、版権も売れ、ウェブドラマ『笑江山』として改編されたが、大幅に改変され、酷評の嵐となった駄作だった。

その後、彼女は足が不自由になり、手も不自由になり、顔も醜くなり、大スターになる夢が完全に砕け散った後、自分の世界に没頭し始め、文字だけが彼女の心を癒すことができた。

心境の変化とともに、視野が広がり、SF小説を書き始め、前後して20冊のSF小説を出版した。

SF小説は規模が大きすぎて映像化が難しく、彼女が生きている間は、本は大ヒットし、ファンに追いかけられ、版権は高額で取引されたものの、映像化されることはなかった。

執筆活動を始めてから、編集者も出版社もファンも、彼女のペンネームしか知らず、個人情報は完全に秘密にされていた。

この完全な秘密保持が、彼女の死後、彼女のすべての功績が曽我若菜の手柄となってしまう直接の原因となった。

曽我若菜は彼女のペンネームを盗用し、彼女の作品を持って、ヒューゴー賞を受賞し、日本SFの第一人者となった。

彼女の以前のペンネームも言及されるようになった。

すべてのメディアやファンが、現代の才女曽我若菜を熱狂的に追いかけた。

後に、『盛世寵臣』もリメイクされ、大きな成功を収め、さらにSF小説は次々と映像化され、世界の興行収入記録を更新し、世界中で大ヒットとなった。