第15章 有名な脚本家

【飴:ねぇ、もう一度よく考えてみてね。著作権料100万って、あなたにとってはかなりの額だと思うんだけど。

出雲七:うちの兄が芸能プロダクションを立ち上げたの。脚本家を募集してるから、転職を考えてみない?

飴:jpg(黒人の疑問顔)

出雲七:給料は倍になるわよ。

飴:展開が早すぎて、ちょっと整理させて。

出雲七:絶対損はさせないし、食事と住まいも付いてるわ。】

彼女が体調を崩して、小説執筆に専念していた時期は、毎日部屋に引きこもって、映画やドラマ、バラエティを見るのが一番の楽しみで、芸能界のゴシップにも夢中だった。

かつての編集者である飴は、後に有名な脚本家・安美となり、手がける作品は次々とヒットを飛ばした。

【飴:ちょっと待って、著作権はもう売らないの?

出雲七:売らないわ。自分たちで制作する。

飴:給料本当に倍で、食住付き?

出雲七:うん。

飴:住所送って、今すぐ荷物まとめるわ。】

飴は港都市にいて、退職手続きと引き継ぎ事項があるため、日曜日の列車で来ることになった。

水野春智は社長として、航空券を会社持ちにすると直接彼女に伝え、空港まで迎えに行くと言った。

【飴が感激して:社長、ありがとうございます!私、必ず一生懸命働いて、ご期待に添えるよう頑張ります!

出雲七:頑張って!】

水野日幸は嬉しそうに指を鳴らした。これで決まり、未来の売れっ子脚本家は自分のものになった!

翌朝。

水野日幸は出雲絹代に起こされた。

「日幸、慌てないで。お父さんに車で送ってもらいなさい」出雲絹代は彼女が大慌てで準備するのを見て声をかけた。

水野日幸はテーブルの上の朝食を次々と皿に取り、お粥も一杯よそうと、外へ走り出した。

「急がないで、カバン、カバンを忘れてるわよ!」水野春智がカバンを持って追いかけた。

水野日幸は走りながら言った:「学校じゃないの、お隣さんに持って行くの。だって、お隣さんの面倒を見てあげようって言ってたでしょ?」

出雲絹代は彼女が山盛りにした皿と大きな茶碗のお粥を見て、水野春智を見やった:「お隣さんって太ってるの?」

水野春智は自分のことを言われていると思い、無邪気な表情で:「僕はダイエット中だから、食べてないよ!」

水野日幸の籠と縄は壁の根元に置いてあり、朝食を持って一気に登った。

男性は静かに玄関に座っていて、遠く離れていても、彼から漂う冷たい雰囲気がはっきりと感じられた。

「お兄さん、母が持ってきてって。」水野日幸は彼に向かって手を大きく振り、食べ物を置いた:「母の作る蒸し餃子と焼き餃子はすごく美味しいの。皮蛋入りのお粥も美味しいわよ。」

長谷川深が目を上げると、その深く冷たい切れ長の瞳に、彼女の姿がくっきりと映った。

少女は目覚めたばかりで、長い髪は少し乱れ、顔にはまだ眠気の名残があり、愛らしく可愛らしかった。

彼女が笑うと、目元が優しく弧を描き、朝一番に雲を突き抜けて差し込む陽の光よりも明るく温かだった。

「お兄さん、学校に遅れそうだから行くね。必ず食べてね!」水野日幸はそう言うと、慌ただしく梯子を降りた。

長谷川深は空っぽになった壁の上を長い間見つめてから、やっと視線を移した。

壁の隅には小さな竹籠が置かれていた。

朝は静かだった。

隣から聞こえてくる少女の慌ただしい足音や、両親が彼女を追いかけて注意する会話がはっきりと聞こえた。