第23章 胸糞が悪い

水野日幸は一戦で名を上げた。

学校一のワルである辻緒羽が公衆の面前で彼女に求愛を宣言し、第四中学校の目立たない存在から、女子生徒たちの公敵へと変わってしまった!

朝、学校に着くと、彼女と辻緒羽の机、そして前後左右の机が全部くっつけられ、二、三十種類はある朝食が並べられていた。和食も洋食も全て揃っていた。

林格史が笑顔で近づいてきた。「日幸姉、これは緒羽様が用意したものです。どうぞごゆっくり」

水野日幸は冷たい声で言った。「これ全部持って行って」

林格史はへへと謝りながら笑った。「日幸姉、顔を立ててくださいよ。これは全て緒羽様の真心なんですから」

「私はあなたの姉じゃない」水野日幸は彼が動かないのを見て、自分で机を片付け始めた。カバンを机の上に投げ出し、冷たく言った。「辻緒羽に伝えて。もうこんな余計なことはしないでって」

林格史は顔を曇らせた。

この小娘め、恩を仇で返すとはな!

緒羽様が彼女を手に入れた時、まだそんな高慢ちきな態度が取れるかどうか見ものだ。

その時は緒羽様の前で土下座して、泣きながら許しを乞うことになるだろう。

インターナショナルクラスの生徒たちも、水野日幸を審査するような目で見ていた。

男子生徒たちは期待に胸を膨らませていた。他のことは置いておいても、あの清楚で絶世の美貌は、国も傾くほどの美しさと言っても過言ではない。緒羽様はもちろん、彼らだって美人を手に入れたいと思っていた。

女子生徒たちは嘲笑と嫉妬の目を向け、心の中で不満を募らせていた。生意気な小娘め、緒羽様の顔を立てないなんて。ただの上品ぶりっこで、わざと引き付けようとしているだけ。心の中ではきっと喜んでいるに違いない。

「水野日幸!」

教室の入り口から怒りの声が響いた。

インターナショナルクラスの生徒たちは入ってきた曽我時助を見て、全員が面白そうに水野日幸を見つめ、見物しようとしていた。

水野日幸は曽我若菜の足を折ったのだから、曽我時助がそう簡単に許すはずがない。

結局、曽我時助は妹思いの兄として第四中学校では有名だったのだから。

水野日幸は物憂げに冷たい瞳を上げ、来た人を一瞥した。

曽我時助は彼女を睨みつけた。「柳田霞に何をした?」

水野日幸は彼を見向きもせず、無表情に本を取り出して開いた。