第37章 口を閉じて

入り口の人も入ってきて、会社から一緒に来た人たちが全員揃った。

「水野社長、早いですね!」松本新祐は女優の水野若実のマネージャーで、笑顔で挨拶した。

「水野脚本家、お待たせしましたね」主演の木村有希のマネージャーである中村広山が立ち上がって、彼女の椅子を引いて座るよう促した。

残りの人々は、源那津以外は皆、水野日幸に丁寧に挨拶をした。

高橋夢は目の前の光景を見て、呆然とした。

あの若い女性が主演女優でないのなら、こんなに美しい必要はなかった。間違った相手に挑発してしまった。

もう終わりだ。彼女の人生は終わってしまったのかもしれない。若社長で脚本家の方を怒らせてしまった!

高橋夢のマネージャーの山田早苗が彼女を呼び、水野日幸を紹介した。「夢ちゃん、こちらは我が社の水野社長で、『笑江山』の脚本家よ」