第36章 目が節穴だな

曽我逸希:「安心しろ。あれだけ大掛かりな撮影をしても、放送は下半期になるだろう。ドラマの審査基準なんて、一瞬で変わるものだからな」

曽我時助は目を輝かせた:「お父さん、つまり審査を通らないってこと?」

ドラマが人気になって、自分が台本を断ったことを後悔するのが一番怖かった。

曽我逸希は彼に目配せをした:「これは上層部の機密情報だ。外では喋るなよ。下半期は時代劇と生まれ変わりものが規制されるんだ」

曽我時助は目に陰険な喜びを浮かべた:「お父さん、安心して。絶対に外では喋りませんから」

自分が断ったドラマは、自分が捨てたゴミ同然だ。他人には撮らせない。撮っても人気は出させない。

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『笑江山』の主演男女と第二主演の男女は、全員コスモスエンタテインメントの新人だった。

源那津は個室を予約し、これから『笑江山』の撮影に入る俳優たちを集めて食事会を開き、ついでに社長家の水野若社長にも会わせることにした。